特別公演・記念公演 演目解説・演者紹介
1月 特別公演
能「翁」(おきな)
「翁」は特別な演目で、そもそもは五番立てであった一日の番組の一番最初に演ぜられる儀式的な曲で、今日では年頭の初会の時や、舞台披きなどで舞われます。
露払いの千歳の舞、翁の舞、狂言方の三番叟が舞う「籾の段」「鈴の段」という三部構成になっています。
翁は天下泰平、国土安全を祈るという古来の農耕儀礼の伝統を受け継いでいます。翁が最初に正面に向かい深々と礼をしたり、舞台の上で面を掛けたり、翁帰りと言って途中でシテが帰ってしまうなど、幾つか他には無い特色があります。
シテ 亀井雄二(クリックで能楽師情報をご覧いただけます)

能「熊野」(ゆや)
故郷の母の病気を気遣いながら、平宗盛の命で中々帰郷せぬ熊野のもとに、故郷池田の宿から侍女の朝顔が直接母の文を携えてやって来ます。
母の思いの籠った文を読んだ熊野は、朝顔を伴い宗盛のもとに行き、文を見せて暇を望みますが許されず、今年も花見の伴に参れとその場から車に乗せられて連れ出されてしまいます。
憂きを抱いたままの花見の宴で舞を舞い、折からの村雨に散る花を見た熊野は歌を詠み、それを読んだ宗盛にやっと帰郷を許されて、御意の変わらぬうちにとすぐに旅立って行きます。
シテ 野月聡(クリックで能楽師情報をご覧いただけます)

能「羅生門」(らしょうもん)
大江山の酒呑童子を退治した源頼光一行は、春雨の降る春の夜に酒宴を開いていました。
そのつれづれに頼光が皆々に、この頃都に変わった事は無いかと尋ねます。すると保昌が羅生門に鬼が出るという噂があると言い出します。それを聞いた渡辺綱はこの平和な御代に、そんな馬鹿な事を言うなとたしなめ口論になります。疑うなら行ってみよと言われ、綱は頼光から標の札を賜り、羅生門に出かけて行きます。綱が札を置いて帰ろうとすると兜を掴まれ、鬼が現れて綱と戦い、鬼は腕を切り落とされて逃げ去ります。
シテ 登坂武雄(クリックで能楽師情報をご覧いただけます)
狂言「福の神」(ふくのかみ)
大晦日の夜、誘い合わせて福の神へ向かう二人の男。参詣し「福は内、鬼は外」と豆を打ち囃すところへ福の神が姿を現します。
酒好きな福の神は、お供えの神酒を求め、二人の熱心な参拝を褒めます。
そして、豊かになる秘訣は心の持ちようで、早起きをし、慈悲の心を持ち、来客は歓迎し、夫婦仲では腹を立てず、そのうえ福の神に酒をたくさん供えてくれるなら、裕福にしてやらねばならないだろう、と言って楽しげに笑います。